中国ビジネスを愛する貴方におくる起業家のホンネ

好きなんだから堂々と宣言しちゃいましょ。私は、いま、改めて中国上海ビジネスに夢中♡

勝って兜の緒を締めよ!中国が強い理由は?

今の中国は、良きモノをさらに良く!無きモノは…...作っちゃいました!が出来ちゃう国。

そんな中国で話題の話といえば、「996システム」。午前9時から午後9時まで週6働くこと。
 
「996勤務」の登場には歴史的な背景があります。
2000年代初頭に中国のハイテク企業が登場したとき、多くの企業は休日なしで働ける従業員を募集していました。
一例をあげると、某有名企業は残業代を支払わない方針にしたことで人件費を大幅に削減し、大きな利益を上げて世界でも5本の指に入る企業にまで成長。
そして他の企業も同じように成功するために、某有名企業と同じ方針を採用。
社員の長時間労働が常態化する文化が根付き「996」という言葉が誕生。
 
何故にこの話を持ち出したかというと、アリババ集団のマー会長が先週、「996システム」を導入しなければ中国経済は活力と推進力を失うだろう、と発言しました。
中国経済が何年にもわたって急成長したことにより、「怠け者」が増加しており、今のままだは淘汰される、という強い危機感が根底にあります。
ザックリ言うと、イノベーションのためにはそれくらい普通であり、そうしないとライバルに出し抜かれるから、めっちゃ働こうぜベイビー的な内容。
 
もし、日本企業の社長が「996システム」を導入すべきと言ったら、フルボコにされるでしょうね(苦笑)
昨今、日本では半ば闇雲に「働き方改革」を進めています。
一例をあげると、管理職が現場の声を聞かないまま「勤務時間を短くするように」と指示し、残業削減などの施策を頭ごなしに押し付けた、などなど。
 
日本企業の「働き方改革」って結構ズレていませんか?
労働生産性の低さは、日本の組織の仕事の仕方に起因しています。
管理組織を肥大化させ、無駄な会議や無駄なプロセスが多すぎる。
結局のところ、「働き方改革」云々なんて、管理組織を最小化し、管理項目を厳選し、プロセスを簡素化するだけでOKでは?
たったこれだけで「要員削減」「コスト削減」「生産性向上」できますよね?
 
少し話が逸れますが、上海の日系企業を見ていると、日本本社が管理志向で現場(現地)も見ずに、無駄な管理書類作成を強いることが多々あります。
成果を上げるための活動時間より、本社への報告に割く時間のほうが多いとなると、ダメだこりゃ(笑)
無駄な中間処理や後処理が多すぎるため、組織としても社員個々としてもパフォーマンスが低下する。
かなり優秀な日本人駐在員でさえ、このようなクソ環境で結果を出すのは難しい。
あ、これ、全然珍しい話ではなく、日本企業にありがちな中国ビジネスチャンスを逃す典型例。
 
在上海日系企業の愚行はさておき、創造的な仕事をしたい若者となると、しばらくの間「長時間労働」が必要だと思います。
生産性を考えず、慣れるべき作業に長時間費やしてもOKな環境がないと、仕事ができない人になっちゃう。
あ、そうそう。「生産性」と言う割には、本当に「生産性」という意味が分かっている人は少ない。
生産性とは、「生み出された付加価値」+「そこに費やされた資産との比率」。
生産性を上げるためには、資産を減らすか、付加価値を増やすか、もしくはその両方が必要。
となると、創造的な仕事をしたい若者に対しては始めから「生産性」「効率化」を強制したらダメですよね?
付加価値の高い「やりがい」のある仕事をしたければ、そこに投入すべき資産を多く求められます。
仕事を覚えるのには時間がかかるのに、「時短」と言われると、人が育つのに余計に時間がかかってしまう、という矛盾が生じます。
 
間違った「働き方改革」が蔓延すると、使えない人材が増え、ゆとり教育の二の舞になる、だけ。
バリバリ働きたい、やる気のある若手社員が、残業時間を減らしたい会社から、早く帰るように促される、というのは残念。
若くてやる気がある社員の残業時間を制限され、めちゃくちゃ頑張る経験を積めない、というのは理不尽。
要するに、綺麗事だけでは何もできませんし、苦労せずに何かを成し遂げられません。
日本人の美徳として語られた「勤勉」を無理やり無くそうとしているのが「働き方改革」なんでしょうか.....。
 
冒頭で述べた、午前9時から午後9時まで週6働く「996システム」ですが、日本人に馴染みのない話ではありません。
かつての日本電線や京セラなどでも似たようなことを言っていました。
過去の日本に存在した偉大な経営者の意思を継ぐのは、中国人なのかもしれませんね。
 
中国にどんどん突き放される日本。悲しい。
「日本でこうやればもうちょっと」みたいなことは、今すでに中国で起きています。
なんだかんだ日本には過去の遺産があり、なんとか持ちこたえていますが、あと3年〜5年もすれば、ほとんどの分野で中国に先にいかれるでしょうね。
悲しい話ではありますが、一般にその認識が拡がるのはもう少し先で、そして気付いた時には、とっくに手遅れというオチ。
 
日本企業がこぞって「働き方改革」に挑むと、企業は業績を上げることも、人を育てることもできなくなります。
中国企業がこぞって「996システム」に挑むと、企業は業績を上げて、人を育てることになります。
中国に追い越された日本は長時間労働に反対。
日本を追い抜いた中国は長時間労働に賛成。
勝って兜の緒を締めよ!中国が強い理由はこういうところにあるんでしょうね。
となると、日本はもう中国に勝てません(多分)
 
日本では「996システム」とは真逆の「働き方改革」が行われ、自前での育成も技術開発力も衰えていくのでしょうか....。
そんな悲惨な状況にもかかわらず、外に打って出る若者が減少していくのでしょうか....。
この先に待っている日本の未来はどんな感じになるのでしょうか....。
 
私個人としては、「996システム」を強いることには反対です。
されど、この不確実な時代、奮闘精神や創業時のように必死に仕事しないと生き残れません!!!
定時勤務を希望するなら、それが可能な業界に転職するか、低収入の職種に就けばいい、だけの話ではないのでしょうか?
冷静に客観的に考えれば分かると思うのですが、世の中にないモノをつくりたい!良きモノを更に良くしたい!となると死ぬほど働かないと実現できません!!!
 
なにはともあれ「日本の働き方改革」VS「中国の996システム」の行く末が楽しみ。
中国上海ビジネスにはコレが絶対!という公式はありませんが、私の経験が少しでも参考になり、新たなビジネスの可能性を引き出していただければ幸いです。

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